【September mermaid♯2】 啓介01:あの日から、俺たちは昼休みや放課後、なつみのいる教室へ行くようになった。     3人集まっては、いつも他愛もない、いわゆるどうでもいい話ばっかりしている。     記憶を取り戻すってどうすればいいかわからんが、いいのかこんなんで… 渉01『…でさ、やっぱすげーんだよこいつ!決勝戦でハットトリック決めてやんの!なつみにも見せてやりたかったな〜。』 啓介02:それに、俺はまだ正直あまり状況がつかめてない。話を聞けば、なつみ(渉命名)は夏休みに突然現れこの東校舎に閉じ込められている。     まったく記憶がなく、しかも声も出せないらしい。というか、渉はなんでこんな平然とこの子を受け入れているんだ?     どう考えたって、間違いなくなつみは幽霊とかそっちの類だよな… 渉02『…なっ!啓介!』 啓介:… 渉03『…啓介?』 啓介03『ん?…あぁ、ごめん。ボーっとしてた』 渉04『どうしたー?夏バテか?』 啓介04『もう9月だ。秋だ。』 渉05『なら、秋バテか。』 啓介06『なんだそれ。』 渉06『最近昼は暑くて、夜は寒いからな〜体調管理に気を付けないと!』 啓介07『そうだな。』 渉07『…そうだ、啓介。今夜花火しないか!?』 啓介08『こりゃまた、唐突だな。おい』 渉08『いいじゃん。なつみにもみせてやりたい!なつみ、いいか花火ってのは日本の風物詩なんだ。これをやらんことには、夏は終わらねぇ。』 啓介09:…まぁ、途中参加の俺がどうこう言ってもな。きっと渉もいろいろ考えたはずだ。     『って、ここでやるのか!?』 渉09『当り前だろう。』 啓介10『燃えるぞ。ここ古いし。』 渉10『大丈夫だって!』 啓介11:…こいつが、どこまで考えてるかわからんが。なつみ自身が楽しそうなのはいい事なんだろう。     …仕方ない。付き合ってやるか。    『わかったよ。何時集合だ?』 渉11『9時!』 啓介12『夜の東校舎か…』 渉12『いかにも何か出そうだな!』 啓介13:…本当に考えてんのか?コイツ…