声劇スレの皆様、お初にお目にかかります。 二月ほど前より此方で投下させて戴いている音楽(おんらく)と申します。 今回、怪談「琳の玉姫」を聞いていただき感謝感激の極みです。 花魁の声を提供して下さった方にも、この場を借りて厚く御礼申し上げます。 誠に有り難う御座います。 劇中に出てくる玉菊屋のように、元遊郭だった建物を呑み屋として そのまま使っている所はあちらこちらに存在します。古や和に興味があり 遠出しては色町などの跡地を訪ねていますが、非常に見ごたえのあるものです。 情緒ある佇まいもさることながら、他の古民家にはあまり見られない 戸板の重厚な造りと当時の名残である羽目殺しの格子窓が異様な雰囲気を かもし出しており、いまにも嬌声が襖の向こうから聞こえてきそうな感じでした。 是非一度足を運んでみては如何でしょう。 時代劇などで描かれる、虐げられる哀れな女性の代名詞としての遊女ですが 悲惨な末路を迎えざるを得なかった方も、数多くいただろうと思います。 しかしながら花魁、太夫と称される才色兼備の花形をはじめ、巷の遊女たちは 逞しくしたたかに生きていたという側面もあったのです。 女郎の帯の結び方、襦袢の色の遊び方などは当時の町娘が真似をするに至り 遊郭遊女を題材にした浄瑠璃や歌舞伎なども好評を博しました。 水商売人の格好を素人が真似るという、室町から平成に至るまで衰えることなく 脈々と受け継がれてきた文化の一面が全く変わらないように 現代の日常生活で使われる言葉の中にも、遊女(あそびめ)である彼女らの 生み出したものが多々あります。 哀れ、悲惨だけでとまるのではなく、その先にある遊女の生きた軌跡を辿り そこで酒や肴をつまむというのも悪くないのではないでしょうか。 あまり長いも座のさわりなので、声劇スレの繁盛をお祈りしつつ 挨拶とさせて戴きます。                                 如月 大安吉日                                 音楽