誰だって夢はある…私だってそうだ 儚い物だとか捕まえる物…人にって解釈は違うだろう そう…夢は… 客 「こんばんは…」 マスター 「いらっしゃい、ようこそカクテルオーダーに」 客 「何でも良い…強い奴」 マスター 「お客さん、そうとう酔ってますね?」 客 「それがどうしたよ…俺は客だぜ?何でも良いんだ…酔える奴をくれ…」 マスター 「どうぞ…マティーニです」 客 「効くな…これ…」 マスター 「このカクテルはマティーニと言うカクテルで、カクテルの王様の別名もあります」 客 「王様か…今の俺とは天と地だな…」 マスター 「どうか…なされたんですか?」 客 「どうもこうもねぇよ!!やっと…やっとだ…やっと廻って来たチャンスが… 俺の夢も…全部…」 マスター 「夢…ですか」 客 「そうさ…誰だよ…夢は掴めるって言った奴は…儚いじゃねーか…掴めねーじゃねーか・・」 マスター 「どうぞ…これは私からのサービスです」 客 「これは…」 マスター 「このカクテルはダイキリと言って…」 客 「知ってるよ…カリブの陽気な酒だろ…忘れて陽気になれってか?」 マスター 「このカクテルは過酷な作業を行っていた奴隷が作ったとされるカクテルです 今では陽気なカクテルとイメージが付いていますが、 過去、奴隷貿易に使われるなど非常に悲しい歴史もありました。」 客 「ッ…」 マスター 「お酒も夢も溺れる為にあるんじゃありませんよ、飲み干す為にある 少なくとも私はそう思っています」 客 「…また…来るよ」 マスター 「お待ちしております」 夢は飲み干す物だ…客に言ったその言葉の矛先… それは自分に向けてたのかもしれない