ハルバ「さて、まずは風の扉の正体について教えてもらおうか。    結局のところ、あれはいったい何なのだ?」 ヴァーリ「恐れながら、ハルバ殿。あなたのようなお人には理解できますまい」 ハルバ「…迂闊な口をきくと長生きできぬぞ。さっさと喋るのだ!」 ヴァーリ「その前にお聞かせ願いたい。もし風の扉があなたの求めるものだったとしたら、     どうなさるおつもりなのだ」 ハルバ「知れたこと。直ちに配下の兵を派遣し、我がものとする。    そして無限の魔力をもって蛮族どもを殲滅すれば、皇帝も私への皇位継承を認めざるをえまい」 エイル「なるほどねー。戦争で手柄をたてて権力を握ろうってことか。    やっぱり戦争バカなんだね」 ヴァーリ「ふん…。風の扉が封印に守られていることは御存じであろう?」 ハルバ「無論だ。しかし、その正確な場所と封印を解く方法がわからぬ。    その秘密も、貴様に教えてもらうとしよう。拒むことはできんぞ」 ヴァーリ「…よかろう、お話しよう。封印は全部で6つ、そのうち3つはすでに解かれた。     残る3つの封印は、ここより南のアガルタ湖の底、北西のアトラス山の遺跡、     そして北西のオフィール大神殿だ。このオフィール大神殿が最後の封印となる」 ハルバ「オフィールが最後の封印か…!はっはっは!    素直ではないか、助かるぞ。もっと早く、こうして直接訊くべきだったな。    わざわざ蛮族をけしかけて貴様らをとらえようなどと、する必要もなかったか」 エイル「け、けしかけて?まさかこいつ…!」 ヴァーリ「通じているのだな、蛮族…いや、ペルソスの残党と」 ハルバ「くっくっく…蛮族どもを指揮して魔物どもを追い払い、貴様らを襲わせるのは苦労したぞ。    あの時は大神官の息子に邪魔立てされたがな…」 エイル「わっるい奴!!信じらんねー!」 ヴァーリ「どういうことだ?その蛮族を倒すために風の扉を求めているのだろう?」 ハルバ「そんなことは貴様の知ったことではない。とにかく、封印の秘密を洗いざらい話すのだ」 ヴァーリ「いかにも、風の扉はあなたの期待する通り、封印を解きし者に無限の魔力をもたらす     ものである」 エイル「ご、御主人!?何言ってんのさ!」 ハルバ「おお……ふふ、ふははは、ははははは!!やはりそうであったか!そうとわかれば、さっそく    封印を解きに行くぞ!おい、兵に準備をさせよ!」 ヴァーリ「まあ待て…その前に、小用に行かせてはくれぬかな?皇子を前にして、     緊張してしまったようだ」 ハルバ「そのようなつまらぬ嘘で逃げられると思うか」 ヴァーリ「この期に及んで逃げられるとは思わんさ。本当にもよおしてしまってな」 ハルバ「…よかろう、さっさと戻れよ。(衛兵に)おい、逃がさぬよう目を離すな」 衛兵「はっ」 『ハルバはヴァーリの落ち着いた様子に、逃げるようなまねはしないと判断したようです。  ヴァーリの方もそのつもりはないようですが、他に何か考えがあるのでしょうか。』 (トイレにて) エイル「まったく、とんでもない奴につかまっちゃったね…   それにしても、どうすんのさー、御主人?逃げられそうもないし…。   風の扉が無限の魔力を与える、なんて嘘ついて…   風の扉は人間の悪い心を吹き払って、この世に平和をもたらすんでしょ?」 ヴァーリ「まあ任せておけ、考えがあるんだ。     確かに私は奴のもとから逃げられそうもない。だがエイル、お前は別だ。     私にしか姿の見えないお前がいてくれて助かった。     この屋敷から抜け出して、アレスとライアに伝えてほしいことがある」 エイル「えっ、だけど御主人、一人で大丈夫なの?」 ヴァーリ「封印を全て解くまでは、ハルバには私が必要だ。無茶はすまい。     それより、今から言うことをちゃんと伝えるんだぞ、いいか」 エイル「おっけー、任せて」