「時間遡行教室」 時間遡行 登場人物 ・A:守 マモル(男)  (16) ・B:聡史 サトシ(男) (20) ・C:梨緒 リオ(女)  (16) ・D:葉月 ハヅキ(女) (12) 一話と同じ音声は ' を先頭につけています 二話と同じ音声は " を先頭につけています 三話と同じ音声は ` を先頭につけています 【第四話】 梨緒01「3時まであと3分…」 聡史01「これで過去に戻れなきゃ俺たちどうしたらいいんだろうな」 梨緒02「……」 聡史02「しんみりしててもしょうがねえや、プラス思考に――」  バーン 梨緒03「…葉月?」 葉月01「梨緒どうしたのそんな顔して、確かにいきなり光ってびっくりしたけどー。     あれ、守君は?あっ、もしかして守君だけタイムスリップできたのかな」 梨緒04「葉月あんたどこから来たの」 葉月02「どこって、何言ってるの?教室から移動してないよ」 聡史03「そ、そうだ葉月、お前の時計今何時さしてる」 葉月03「さっきみんなで合わせたでしょ、2時になったばっかりだよ」 聡史04「ということは俺たちのように過去じゃなく未来に飛ばされたって言うのか」 梨緒05「これから未来に飛ばされる可能性もあるわけね」 葉月04「何の話してるの、梨緒と聡史なんかあった?」 聡史05「時間がない話は後だ、葉月に必要なことだけ言っておく。     もし過去にいけたら時間遡行を止めさせるんだ」 葉月05「でも、そんなことしたら未来を変えることに――」  ピカッ  バーン 聡史06「あれ、どうなったんだ」 梨緒06「教室の時計は一時半、過去に来たようね」 聡史07「よかった」 梨緒07「それにしても曖昧なタイムトラベル、今度はみんな一緒なんて」 聡史08「一緒で悪い事はないさ」 葉月06「ところで、タイムスリップを止めさせるなら守君に言えばいいんじゃないの。     守君が企画したわけだし、たぶんもう集合場所にいると思うよ」 聡史09「そうだな、向かうか」 聡史10「よう」 守 01「あれ、みんな揃って早いねまだ集合時間前だよ」 梨緒08「守、今日のする事中止にして」 守 02「ど、どうしたの梨緒、昼間あんなに乗り気だったのに」 聡史11「ごめん、分けわかんなくなるから俺が話す」 聡史12「まず俺たちは未来から来た」 守 03「すごい、じゃあ時間遡行は成功したんだ」 聡史13「成功というか、過去や未来に行くことはできた。ただ――」 守 04「つまり、同じ人が同じ時間に存在し続けてしまうわけか」 葉月07「そうだったんだー」 梨緒09「そういうこと、だから残念だけど中止」 守 05「それはできない」 梨緒10「何で!」 守 06「考えてもみてよ、せっかくこの時間に集まって何もせずに帰るなんてみんな納得できる?」 梨緒11「それは…」 聡史14「たしかに…」 守 07「まあでも中止にしなくても失敗すればいいんだよ、ほら時計を少しずらせば」 葉月08「なるほどー」 聡史15「その手があったか」 守 08「そろそろこの時間のみんなが来るよ隠れて隠れて」 葉月09「守君、こんばんは」 守 09「ああ葉月、二人には会わなかった?」 葉月10「会ってないけど、すぐ来るんじゃないかな」 聡史16「よう、守,葉月」 梨緒12「来てやったわよ」 守 10「それじゃさっそく行こうか」 '聡史10「おいおい、俺らは無視かい」 '梨緒10「そのセリフは私に勝ってから言うことね」 ' 守 07「はいはいそこまで。みんな、時間を合わせよう」 '聡史11「はいよ」 '梨緒11「了解」 守 11「56分55,56,57,58,59、ゼロ」  ピッ×3 ' 守 08「後は待つだけだ」 '聡史12「あーなんかいまさらすげードキドキしてきた」 '葉月08「ねえ、みんなで手つながない?こう輪っかになって」 '梨緒12「いいんじゃない、ビビリ男子どもも少しは落ち着くでしょ」 '聡史13「それは聞き捨てならんな、これはビビってるわけじゃなく」 ` 守 01「まあまあ、ほらもう30秒しかないよ、そんなことしてたら繋ぐ前に時間になるって」 `聡史01「それもそうだな、ここは一度停戦だ」 `梨緒01「そうね、葉月の頼みだし」 守 12「あれ、失敗かな。誰か時計見てみて」 `聡史02「2時、過ぎちまってるな」 `梨緒02「とりあえず外でよっか」  ガラガラ " 守 01「失敗かー」 "葉月01「ほっとしたような、残念なような」 "梨緒13「タイムトラベルなんてしょせんSFの中のお話に過ぎなかったってことね」 "聡史14「気落とすなって。夜中の学校に忍び込んだりして俺は楽しかったぜ」 `梨緒03「同意」 `葉月02「うん」 守 13「ちょっとごめんトイレ行くから先行ってて」 梨緒13「うまくいったみたいね」 守 14「うん、でもたぶん本当の2時になるとみんなは……」 聡史17「おい、梨緒の体なんか透けてるぞ」 梨緒14「何見てんのよ!」 聡史18「ちがうちがう、透明になってるって」 梨緒15「えっ」 葉月11「私もだ、消えちゃうのかな」 守 15「時間遡行がなかったことになるから未来から来た3人は…」 聡史19「一件落着じゃねーか、過去の俺によろしく!」 梨緒16「こんな不思議なことがあったって、絶対に私たちに話しなさいよ」 葉月12「守君、さよなら」 聡史20「長いトイレだったな」 守 16「ごめんごめん。それより、面白い話があるんだけどさ――」